情報流通プラットフォーム対処法の実務|
大規模SNS・掲示板への削除申出の流れ
2025年4月に施行された「情報流通プラットフォーム対処法」(旧プロバイダ責任制限法の改正)により、大規模なSNS・掲示板事業者には新しい義務が課されました。この記事では、総務省の公開情報をもとに、実務でどう影響するかを整理します。
情報流通プラットフォーム対処法とは
情報流通プラットフォーム対処法は、旧プロバイダ責任制限法を改正する形で2024年に成立し、2025年4月1日に施行されました。インターネット上の誹謗中傷等の相談件数が高止まりする状況を踏まえ、大規模なプラットフォーム事業者に新たな規制が設けられています(総務省公式ページ)。
大規模プラットフォーム事業者に課された4つの義務
総務省の公開情報によれば、大規模プラットフォーム事業者には主に次の義務が課されています。
- 削除を受け付ける窓口の明確化(ホームページのアドレス等を明示)
- 侵害情報調査専門員の選任(専門的な知識経験を有する人材の配置)
- 削除申出への対応期限(原則7日以内に対応を判断し、申出者に結果を通知)
- 削除基準の策定・公表、削除件数や理由の年次報告
「7日以内の対応」が意味すること・意味しないこと
「7日以内に対応」とは、7日以内に削除するという意味ではなく、7日以内に対応を判断し結果を通知するという意味です。判断の結果「削除しない」となる可能性もあり、この法律は削除を保証するものではありません。
対象となる「大規模特定電気通信役務提供者」とは
この法律の義務は、一定の利用者規模を超える大規模なSNS・掲示板等(大規模特定電気通信役務提供者として総務大臣が指定する事業者)に課されるもので、すべてのウェブサイト・小規模な掲示板に一律に適用されるわけではありません。個人ブログや小規模サイトへの削除依頼は、従来どおりサイト運営者との個別のやり取りが基本になります。
削除申出をする際の実務上のポイント
削除申出を行う際は、①対象投稿のURL、②権利侵害の内容(名誉毀損・プライバシー侵害等の具体的な理由)、③申出者本人であることの確認資料を明確に準備することが、7日以内の判断をスムーズに進めてもらう上で重要です。曖昧な申出内容は「判断できない」として結果が長引く原因になります。
この法律だけでは解決しないこと
情報流通プラットフォーム対処法は削除申出の手続きを整備するものであり、投稿者を特定する発信者情報開示請求とは別の制度です(開示請求についての詳細はこちらの記事で解説)。また、削除を保証するものでもないため、削除されない場合に備えて、逆SEOなど検索結果の見え方を整える手段も並行して検討することをおすすめします。
旧プロバイダ責任制限法との違い
旧プロバイダ責任制限法にも発信者情報開示請求の規定はありましたが、今回の改正では大規模プラットフォーム事業者への削除対応の迅速化(7日以内の判断・通知)が新たに盛り込まれた点が大きな変更点です。従来は「いつまでに対応してもらえるか分からない」という不透明さが指摘されていましたが、この法律により対応期限が明確化されました。
企業の法務・広報担当者が押さえておきたいポイント
自社に関する投稿の削除申出を行う際は、申出内容が具体的であるほど大規模プラットフォーム事業者の判断がスムーズになります。法務・広報担当者は、申出文のテンプレートをあらかじめ準備しておくと、実際に対応が必要になった際に迅速に動くことができます。
この法律の施行後に変わったこと・変わらないこと
変わったのは、大規模プラットフォームの削除対応の透明性・迅速性が向上した点です。一方で、変わらないのは、投稿者への損害賠償請求や削除交渉の代理は依然として弁護士のみが行えるという点です。この法律の施行によって、非弁行為の業者が合法的に代行できるようになったわけではない点に注意してください。
今後の運用状況を確認する重要性
この法律は施行されたばかりで、実際の運用実績(削除申出の対応件数・平均対応日数等)は今後、総務省の年次報告等で明らかになっていくと考えられます。法律が新しく変わった直後は、実務上の運用がまだ固まっていないこともあるため、最新の公式情報を定期的に確認することをおすすめします。
類似の法改正情報を継続的にキャッチアップする必要性
インターネット関連の法制度は今後も改正が続くと予想されます。一度制度を理解して終わりにせず、総務省や消費者庁等の公式発表を定期的に確認する習慣を持つことが、長期的なリスク管理につながります。まずは無料のルート診断で、現状の検索結果を確認するところから始めてみてください。